前頭筋吊り上げfrontal suspension
前頭筋吊り上げ手術
前頭筋(眉毛を挙げる筋肉)力を借りてでまぶたをコントロールする方法です。
→適応:
高度の眼瞼下垂で、眼瞼挙筋の筋力が大幅に低下している症例
(挙筋機能が少なすぎると、部分切開法挙筋前転術は適しない)
前頭筋の力をまぶたに伝えるには、”ひも”が必要です。
自分の体のひも(筋膜)または、人工のひも(縫合糸やストリップ)を使用します。
1)縫合糸による吊り上げ
ゴアテックス糸やナイロン編み糸によって、前頭筋の力でまぶたを挙げ下げする。
→主に大人に用いる
2)筋膜移植
大腿筋膜などの自己筋膜を用いて、前頭筋の力でまぶたを挙げ下げする方法
→主に子どもに用いる
■1)縫合糸による吊り上げ
<利点>
- 筋膜移植よりも手軽 手術時間15分~20分
- 手術後に挙がり具合の調整が出来る(糸の締め直し)
<欠点>
- 自分の体のものではない(異物)ので、将来的に感染や外に出てくることがある(1人/20人くらい目安)
- 片眼の手術の場合、眼瞼遅れ(日常生活でぎょろっと見えることがある)が出ることがある
▼症例写真
1.縫合糸による吊り上げ
●<両眼瞼下垂症(高度)>
正面視(術前) 両方のまぶたが開きにくく、精一杯まぶたを挙げようとしても、右眼は光が半分も入っていない。日常生活に支障をきたしている状態。
上方視(術前)
まぶたが邪魔をして上を向くことはほぼ出来ない。
●手術
手術 ゴアテックス糸を用いて前頭筋に吊り上げ
2カ所切開:まぶたの際(二重のライン付近)と眉毛の上
写真の赤線の位置にゴアテックス糸を通して吊り上げ(所要時間約15分/片側)
●術後1ヶ月
正面視 楽に眼の開閉ができるようになった。
●術後6ヶ月
正面視 眼の開閉は問題なし。まぶたや眉毛の上の傷跡は目立たない
下方視(
術後6ヶ月) 上下を向いても自然な仕上がりである
下方視(
術後6ヶ月) わずかに眼を閉じるのが弱いが、ドライアイなどの支障なし。